ワイバーン(wyvernまたはwivern)は、架空の生物の名称。名はマムシを意味するViperからの派生として考えられている。翼を持つドラゴンの中で二本足のもの。飛龍と訳される場合もある。ワイヴァーン、ワイヴァンとも。中世の紋章の図柄としてよく登場するワイバーンは、もともと紋章学より誕生した生物である。当時、ドラゴンの紋章は王室の紋章であったため、ドラゴンに代わるものとして誕生した。ワイバーンの逸話や神話が無いのはこのためである。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用。

 
 
 

LANDISKを復旧する ― データ発掘の実際

2007年11月12日

 

んばんは、まるほです。ぜんぜん更新してませんね。以前の更新が暑い盛りでしたからこれではいけないと思い、更新します。

 

つも思うことなのですが、ブログを持って毎日のように更新している人が沢山いらっしゃるじゃないですか。私なんか、トラブルがあっただの、ロクな事が無かっただのそんな事ばっかりですもん。

あの方たちを見ていて思うのですが、本当によく続くと思います。みなさん結構面白い話題もお持ちのようですし、語り口も軽妙かつ洒脱で、感心しながら読んでいます。やっぱり、楽しいネタが良いですね。

 

いろいろとすることがあったので更新できませんでした。ん?どこからか、2週間に1回の更新じゃないのかという鋭いツッコミが聞こえてきました。しかし、ここまでくれば気にしません。開き直って本題に突入してしまいます。

今回は少し長いですよ。お付き合いください。

 

回はハードディスクの復旧についてお話しましょう。どういう風にディスクを分解して解析するのか?今回、当社のオンラインストレージがぶっ壊れたのでそれを例にとって具体的に解説していこうと思います。

 

またハードディスクが壊れてしまいました。やっちまいました。もう笑うしかありません。適当にデータを入れているディスクですが、容量は300ギガバイト、実際にデータの入っている部分は150ギガバイトほどですが半端な容量ではありませんね。

 

ただ、今回エライ事なのは適当なデータと一緒に技術資料のスキャニングファイルが50ギガバイトほど入っていることです。英語・日本語をはじめとする古今東西(といっても10年くらいですが)のリファレンスマニュアルやシステム・部品のデータが吹っ飛んでしまいました。

大きさA4、厚さが2センチ位の冊子にして700冊くらいの分量です。これを復旧できなければ大変なことです。これらを集めるのに数年かかっていますから。もう今となってはカネでも買うことができない資料です。

 

うだ、バックアップはどーした?

うちバックアップ機構を作ってないじゃん!どーするよ!

 

うに「後悔」という言葉は、私のような者の為にあるのです。

 

ところで、子供のとき皆さんは夏休みの宿題は予定通り終わらせていましたか?私は夏休みと言えば遊ぶことしか考えていませんでした。私は8月下旬になって始めて宿題本を開くありさまで、母によく怒られていました。その時、どうしてもっと早く宿題を仕上げておかないんだと毎年深ーく後悔したものです。

 

もし、バックアップに関するこのような状態に至った経緯を母に言えば、おそらくこう言ってくれる事でしょうね。

「アンタは昔からそうだったね・・・。」と。

 


さて、どーしようか諸君!

あははは!

 

・・・・ちょっと、ヤケ入ってますね。

 

ちんとバックアップ作っておけば後悔しなくていいのにとその時には思うのですが、トラブルが去ると都合よくトラブルを忘れるんですよね。この性格を腹ただしく思います。

 

あえて私なりの言い訳を考えて見ますと、当社のシステム稼働率が半端ではないのでどうしても壊れる頻度が早くなってしまうようです。いつも注意しながら作業をしているのですが、あまりにピリピリしながらの作業を進めていくのは精神衛生上よくないので、気にせずガンガン使っていると忘れた頃にやってきますね。ディスクのクラッシュが。

 

いつもはPC本体のディスクが壊れるのですが、今回はLANDISKが壊れました。読み書きができない上にPCから信号を出力してもLANDISKからの信号がまったく返らなくなってしまいました。この機器はLANへ直接に接続できてファイル共有サーバとして多くのPCで読み書きできるとても便利な機械です。


しかしながら、便利な機械は壊れると復旧に手間のかかる機械へと変貌します。

 

LANDISKの復旧はかなりクセモノです。WINDOWSでは直接読むことができない方法で書き込まれていますので、読み込むことができるように一種のコンバーターを作り上げる必要があります。そこで、LINUXをはじめとするOSを利用します。

実はこのLANDISKというシロモノ、LINUXでハードディスクを操作するように作られた機械です。ですから、LINUXとは相性が良くLINUXを通じてならハードディスクの中身を見ることができます。

て、いつものことですが作業方針を組み立てて、ある程度の指針を決めておきましょう。

作業する上でこれは非常に大事なことで、行き当たりばったりの作業は効率の面でもデータ保持の面でも重大な瑕疵を生じさせる原因となります。
以下のように作業方針を決めてみました。

 

  1. LANDISKを分解し、ハードディスクを取り出してPCに接続した上LINUXモードで起動する。その上で、ハードディスクの中身を確認する。
  2. 認識できる場合はデータを発掘するが、認識不可能な場合にはディスクの再構成を行う。

 

1はそれほど難しいことではありません。異種間OSを使いこなすくらいの技術はいりますが、LINUXでネットワークに接続し、もう1台パソコンをWINDOWSモードで起動してウインドウズからデータの発掘を行います。パソコンが2台必要です。

 

2の方法はLANDISK内部のディスク構成を再現しなおします。これは、1でデータを確認できない場合や確認に支障が生じる場合に行う方法です。

ドライブイメージをファイルにし、故障したLANDISKのハードディスクに移植します。これは、ハードディスクに関する深い知識が必要です。

 

れでは、はじめましょう。私の壊れたLANDISKはHDL−F300と言う機種です。この機種に関する復旧事例はいろいろ調べてみましたが皆無でした。ある掲示板では復旧はできないと言い切っている方もいらっしゃいました。


とは言うものの、何となるだろうと思いながら、故障ディスクをつないだLINUXを立ち上げファイルにアクセスしようとしてみますが、アクセスできませんでした。不可視属性、いわゆる見えないファイルのようにはなっていないのですが、ファイルのOPENコマンドを実行する際にユーザ名とパスワードを要求されます。

 

ユーザ名は特定のアルゴリズムによって書かれているのでしょう。今まで見たことの無いような長ったらしい名前が入っていました。私がいつも使うようなパスワードを幾つか入れてみますが、アクセスが拒否されてしまいます。

 

文字化けを起こしているのかと思い、文字コードをEUCからUTF−8に換えて再トライしてみますがパスワード要求されてしまいます。さてさて、どうしたものか。

 

 

LANDISK本体

I/Oデータ機器社製LANDISK製品名HDL−F300です。筐体はアルミニウム外板で囲われており、ネットワークを手軽に共有できるハードディスクです。機器構成は写真を見るとうり簡素な感じです。

ネットワークに差し込めば手軽にファイル共有サーバーとして機能します。

分解した状態

とりあえず、アルミの外板をはがして中身を露出した状態での撮影。300ギガのハードディスクと電源平滑回路が見えます。ハードディスクの下に本体の基盤があります。

見たところ本体基盤を除き、複雑な回路構成ではありません。

LANDISKのマザーボード

ハードディスク下にある本体基盤。この基盤がLANDISKの本体といっていいでしょう。パソコンで言うならマザーボードですね。この基盤にCPUやメモリーをはじめとするさまざまな機構が内蔵されています。

デジタル回路ですから、いじりだしたら面白いと思いますよ。

 

ろいろいじって試してみましたが、以上のような状況からわかることは何でしょうか?考えてみるとこのような推測が成り立ちます。

 

このLANDISKという機械はファイルを開く動作を行うときに自己のメモリー上で展開しているLINUXによる通信を要求していると思われます(推測1)。

 

ちょっとわかりにくいので、もう少し具体的な言い方をするとわかりやすいかもしれません。

 

ず、PCのユーザがLANDISKにアクセスすると、LANDISKはユーザにどのファイルが必要かを聞いてきます。そのファイル情報をユーザがLANDISKに送るとハードディスクに必要な情報があるかを確認しその情報が存在すればその情報をユーザに受け渡しするのですが、ファイル受け渡しの過程でLANDISK本体と内蔵ハードディスクとの間のみの通信が行われるように内蔵されたLINUXが一定の取り決めを行っているということです。

 

その取り決めを守らない信号が入ってきた場合、例えば私の作成したような他のLINUX−PCからの無粋な信号はパスワード処理され弾かれてしまいます。

 

こで、パスワードを解析する方法を使ってクラックすればいいじゃないかと思われるかもしれませんが、この状態でパスワードを解析してファイルを開くのは大変だと思います。

 

文字数・使用文字の種類などがわかりませんし、使用可能な文字を全部使ってPCで力任せにパスワード解析に当たらせると数百時間下手をすればもっとかかると思われます。時間を短縮させるには性能の良いコンピューターの並列処理によるパスワード解析を行えば可能かもしれませんが、時間や費用がべらぼうにかかりますし、効率の問題からこれは却下と判断せざるを得ません。

 

それに力とカネで物事をうっちゃるのも面白くないですしね。やはりスマートに行きたいものです。

 

ずれにせよ、作業方針1ではうまくいかない事がわかりました。では、次の作業方針2であるディスクの再構成を行います。

 

ディスクの再構成とは何か?簡単に言えば、故障しているディスクの上に正常なディスクから抜いてきた起動プログラムを上書きしてしまう作業をいうのですが、内蔵ディスクがどのような構成されているのかあらかじめ調べておく必要があります。

 

といっても、この手の障害復旧は当然に調べておくのが常道ですが。以下のようになります。

 

領域を図示

右の図式はあくまでも 概略です。

MBR=このディスクのいちばん重要な内容が書かれてある領域。これがないとディスクそのものが動きません。それぞれの区分にもMBRがあるのですが、特に大事なのは領域1です。

右の図をクリックすると詳細な拡大図が別ウインドで現れます。

 

個の領域に区分されていることがわかりますのでどのように処理するか考えてみましょう。

考える前提として、ハードディスクの根幹部分を改変するわけですから修繕するディスクと新ディスクの機種や互換性を確認しておく必要はあります。今回の場合、全く同一のものでしたので問題なしと判断しました。

 

1個のディスク上に5個のパーティション領域が切ってあり、1から3までの領域はシステム領域です。4と5は記憶領域です。

今回の目的は領域4と5、中でも領域5を読み込むことができればミッション成功です。

 

ず、古いディスクのスキャニングをセクターごとに行います。セクターと言うのはハードディスクのデータ最小単位で通常は512バイトで書き込まれています。各セクターにはユーザー・データ以外に,転送データの誤りを検査するCRC(Cyclic Redundancy Check)やメモリーのエラーを訂正するECC(Error Check and Correct)、同期のためのギャップなどが含まれます。さらにヘッドの位置を決めるためのサーボ・フィールドが各セクターに含まれています。

ちょっと専門的になりましたが、今の説明でげんなりしてブラウザを閉じないでください。別にわからなくてもいいです。ディスクの中に固有のチェック機能があると言うことだけ判れば十分です。

具体的には上述のCRCやECCを利用してセクター単位でエラーチェックを行っていくわけです。修復ディスクのどの部分が壊れているのかを確認することは重要です。これによって、修繕の詳細な方針が決まっていくわけですから。


ディスクチェックして破損箇所を確認してみますと、セクターの破損箇所はそれぞれの領域に散発しています。ハードに使っているからでしょうか?アプリケーション領域のパーティションに散発的にエラーが発生しており、不良セクターがたくさん出てきました。

この様子ですとディスクの記憶領域にも波及しているかもしれません。各セクターの破損状況と破損結果の数値をセクター番号に照らしながら解析していくと面白いことがわかります。


破損状況と破損結果数値を持つ一群の似通ったデータ塊がパーティションを超えて存在していることに気がつきます。何を言っているのか?と言う声が聞こえてきました。具体的にはこういうことです。


先ほどの領域1と領域4のエラー部分の散り方、エラーの出方がとてもよく似ているということです。つまり、領域1と領域4はそれぞれデータを移し変えて似通ったデータを保有していると考えられます。このような結果になったのは領域1と4の他に、領域1と領域3にきわめて似通ったエラー拡散がありました。

 

これはどういうことか?

ディスクまたはICの中にオリジナルのプログラムを格納領域がありその格納領域からプログラムをロードしてハードディスクを操作している。さらに、パーティション間でプログラムの相互参照を行いエラーチェックしている(推測2)

と考えられないでしょうか。

 

では、通常はコピーを実行プログラムとしているはずですから、ディスク上のオリジナルはどこに置くか?と考えます。私なら領域1に置きます。MBRもこの領域にありますし、開発者なら普通ここに置くでしょう。オリジナルが壊れてしまうのを防止するために複数のオリジナルを置いて内部で一定時間ごとに相互参照しているとも考えられます。

ただ、そのような場合はファイルを圧縮しておくでしょうから先ほど見たようなセクター破損状況からの推測は難しくなりますが。

 

しずつ見えてきましたね。さらに、LANDISKに同梱されていた取扱説明書やセットアップのしおりをすべて読み込み検証します。どうしてそんなことをするのかというと、これらの書類にもディスクの内部構成を推測できるような部分が書かれていることが多いのです。


事実、取扱説明書の中にもそのような部分がありました。この機械はシステムの初期化リセットができます。普通、初期化するとディスク内部にある記録はすべて消去されます。しかし、取説によると記憶内容はリセットされずにそのまま保持されると書いてありました。


この取説の文章から以下のような内容の推測を行うことができます。

 

ハードディスクの記憶内容の読み書きはシステムを通じたアプローチを原則としており、この記憶物にアプローチするにはシステムを通じて特定のアルゴリズムを使用しなければならない(推測1を参照)。

ただし、特定のアルゴリズムは毎回またはユーザごとに変動するといったような複雑なものではなく、たくさんの種類があるものではない。1種類か数種類といった単純なものである(推測3)。

 

システムを初期化するたびに記憶アクセス用のロックキーをいちいち変えていたら使用ユーザへの負担が増大して使い勝手の悪い機械になります。ですから、ユーザに負担をかけない方法はロックキーを簡単なものにすること、これに尽きます。

 

このシステムのセキュリティは軍事技術を転用しているわけではありませんからね。民生用は安全で使いやすく修理しやすいというのが一番です。

ロックキーが単純であると言うことは、初期化作業とはオリジナル・プログラムを使った上書き作業であると推測できます。このように考えると、外部からの上書き処理を行ったとしてもロックキー変動の可能性は低いと考えられます。

 

方向性がかなり絞られてきました。上書きを行ったとしても致命的なミスは発生しないと思われます。以上を踏まえて、上書きを行います。

 

まず、領域1のみを上書きしてLANDISKを起動します。
結果は、失敗でした。


次に、領域1と2を上書きしてLANDISKを起動します。
結果は、失敗でした。


では、領域1,2,3を上書きしました。今度はどうか?
ちゃんと起動するか?

 

成功です!やりました!

 

ANDISKの起動に成功!さらに内蔵ディスクへ正常にアクセスできるようになりました。ただ、読み込みはできるのですが書き込みができません。書き込み許可の設定にしているにもかかわらずです。原因はわかりませんがディスクが書き込みを制限しているようです。おそらく領域4、5も不安定な状態になっているのではないかと思われます。


早速、データの発掘を開始します。150ギガ分のデータをPCに吸出しましたが、4時間ほどかかりました。やはり不安定なのか転送速度が落ちているように思えます。

発掘データを検証してみましたが、95パーセントほどの確度で救出に成功しました。技術データが気になるところでしたが100パーセント発掘に成功しました。本当によかった!

 

データ発掘が完了しましたので、今度はLANDISKの完全復旧を行ってみます。領域1から5までのすべてを上書き処理した上で、LANDISK上の初期化プログラムを起動します。そして、領域5のフォーマットをLANDISK上のプログラムで行います。


そうすることで、読み込みも書き込みも行うことができるようになりました。

 

かし、思うようには動いてはくれないものです。スイッチを切った後に再起動すると、またまた起動不能の状態になりました。完全に新しいプログラムで起動しているにもかかわらずです。こうなると、故障原因はソフトではなくハードウェアではないか?と考えるようになります。


通常なら、ソフトを換装するとソフトが原因で異常な動作をしていた機械は正常に動いてくれるものです。しかし、正常なソフトを換装したにもかかわらず、前と同じ故障が生じると言うことはハードに原因があると思われます。

ハードウェアに起動電力供給用のセルが付いていましたのでこの電池を使ったRAM(基盤についているゲジゲジみたいな部品)による故障情報の記憶保持を行っている可能性もあります。


そこで、電池を取って記憶内容を消去の上、再起動を試みましたが電源を切った後に再起動を行うことができませんでした。

 

 

測器を使っての検査や外観チェックを行ってみましたが、どうやら、ハードウェアの故障がハードディスクへの読み書きを行えなくしているようです。

これ以降は非常に技術的な問題になるので割愛します。何をしたかを簡単に要約すると、ハードウェアのなかにあるプログラムの中味をライタと言う機械を使って書き換えました。

 

00ギガのシステムで完全に復旧できたのですが、せっかく修繕しているのですから遊び心は必要です。何かちょっと違うことをやってみたいと思いませんか?

 

LANDISKの300ギガの容量を500ギガに増やしてしまいましょう。ジュースや調味料にも増量サービスがあるくらいです。手間かけているんですから機械にも増量があってもいいでしょう?そう、思いません?

 

500ギガバイトのハードディスクを買ってきて、そのディスク上をLANDISKに使うことのできるよう再構成します。さすがに、500ギガの容量をLANDISK用に再構成するのは時間がかかりました。およそ、40時間かかりました。パソコンをつけっぱなしでしたからね。変なエラーが発生しないかヒヤヒヤしましたよ。

 

言っている間に、再構成を完了してプログラムを乗せ直した500ギガのハードディスクをLANDISKに乗せ変えです。この際に気になった事のひとつですが、300ギガと500ギガのハードディスクの電流値が異なるということです。

両者とも5ボルトと12ボルトの電圧で稼動しているのですが、300ギガのハードディスクは5ボルトが0.46アンペア、12ボルトが0.56アンペアであるのに対し、500ギガのハードディスクは5ボルトが0.72アンペア、12ボルトが0.58アンペアの定格電流表示になっていました。

 

流をたくさん流すことは必然的に発生熱が増大し、ディスクに負担がかかるということを意味します。また、電源平滑回路への負担が増大することで供給電流が不安定になりディスクの内容が飛ぶ可能性が出てきます。

 

要するに、この回路で電流のバッファ(余裕分)をどれだけとっているかがディスクを正常に動作させる上でのカギとなります。

各種測定データを見てみますと、電源平滑回路部分は上記500ギガ・ディスクの定格値をクリアしましたのであまり気にすることなくハードディスクを乗せ変えました。

ただ、クリアできないのは発生熱の問題です。

 

電源平滑回路

左の写真はLANDISKの電源平滑回路です。この部分は発熱する部品が多くありますので排熱に注意が必要です。

まず、電源トランス部分は100ボルトの交流電圧を12ボルトに降圧するのでその際に発熱します。

次に、両側にアルミ板が立ててあるのが見えますが、これはヒートシンクといって熱伝導の高いアルミを使った排熱処理を行っています。このアルミ板に張り付いている3端子レギュレーターというICチップが強烈に発熱します。回路の中で、ここが一番発熱します。

 

この写真は電気を使った強制冷却装置のペルチェ素子とそのドライブ回路です。

最初はこの素子を使って、排熱を電気的に処理しようと思っていました。ペルチェ素子は電流をハードディスクの10倍以上食うので装置自体を別電源構成しなくてはならず、LANDISKがあまりにものものしくなるので断念しました。

ある程度のコンパクト性は残しておいたほうがいいと思います。

ペルチェ素子とドライブ回路

 

の機械が故障したのは暑い盛りでした。熱暴走による故障の可能性も十分に考えられます。

下の写真を見てくださると良く分かるのですが、LANDISK稼動時にふく射温度計で機器のいろいろな部分を計測してみました。

この機器を計測している時の気温が25度くらいでしたから、夏場ではハードディスクの限界温度である60度あたりに近づいていた可能性もありえます。

 

電源部を温度計測

ふく射温度計で電源平滑回路を計測しましたところ、最高で60度近くまで上がりました。この機器を夏場の35度前後の気温で稼動させることを考えると背筋が寒くなりますよね。

簡単な温度計算をしてみますと、気温が35度のときこの回路の温度は70度近くまで跳ね上がります。ハードディスクにとっては致命的な温度です。

ハードディスクを温度計測

ハードディスクの上面からふく射温度計にて計測。ハードディスクの内部は40度あたりを推移しています。夏場の35度の時だとおよそ55度くらいになりますか。

55度と言えば完全に危険領域ですね。

 

ードディスク以外の主要部品について耐熱105度は保証されているようですので大丈夫だろうと思ってはいるのですが、半導体チップ類は動作温度の上限が85度のものが多い上に、この機器はエアフローによる熱対策があまりできているとはいえません。

排熱がこもり筐体内の温度が上がりすぎてチップやハードディスクの機能が故障する可能性が考えられます。


ちなみに、エアフローとは排熱対策の事で、機器内部で発生した熱を効率的に排出できるかどうかが機器の寿命を左右し電気機器には必ず施されます。

 

また、熱がこもってしまうと熱暴走をはじめとする各種のトラブルが発生することになります。

機器をコンパクト化しようとすると各部品を小さくした上で隙間無く詰め込んで回路構成をしなければならず、排熱が難しくなります。


そこで、熱伝導率が高いアルミニウムの筐体を使うとか吸気排気にそれぞれ強力なファンを設置して強制排気を行うといった手法をとることになります。

しかし、アルミ類の多用は製造コストを引き上げ、強制排気化は電源トランスの容量を大きくする事となりコンパクト化が難しくなります。

 

 

 

LANDISKの外面カバー

 

LANDISKの外面に取り付けられる排気口です。

小さな吸気ファンが外気を取り入れてこの排気口から排出するような設計がされていますが、見てくださるとお分かりのように開口率は5パーセントも無いような気がします。

開口率を上げたほうが空気の滞留もなくなりますし排出熱をより逃がしやすくなります。

筐体内の排気口

上写真のパネルを取り付ける筐体部分です。筐体には排熱を可能にするように、たくさんスリットホールがあいてますよね。

この程度の開口が排気パネルにも開いていればいいのですが。

まあ、本体強度や機器のスタイルといった事を考えるとそれもできなかったのかもしれませんね。

 

器設計者の立場から考えると機器の排熱処理と経費の狭間でいろいろ考えなくてはならず、悩ましいところなのですが、ある程度の線引きは必要ですので、それなりの危険値を見越した上でこのような形に落ち着いたのでしょう。

私としては、排気ファンが付いているのだから吸気口をもっと大きく取って欲しかったと思いますね。そうすれば、かなり熱暴走を改善できると思います。

 

なりの、熱暴走回避策ですがLANDISKのコンパクト性を犠牲にしました。

アルミの外板を取り去ってしまい、排熱が自然に上昇するようにしました。こうすると強制排気する必要がなくなります。

ハードディスクの上面にCPUファンのアルミ製ヒートシンクを引っ付けて冷却ファンを取り付けました。

冷却ファンはもともとこの機器に付いていた小さな排熱ファンを撤去して、定格に近いもので軽くて羽根が大きめの冷却ファンを取り付けました。

 

 

改造完了!

ハードディスクの上に無様にのっているのが冷却ファンです。

冷却器のアルミ表面積等の正確な計算をしたわけではないので断定できる訳ではありませんが、夏場の気温をしのげる程度には作ってあります。冷却ファンの電源は本体から取ります。

LANDISKの横にある小さな基盤がシリアル・コンソールです。これでLANDISKのソフトウエア内部を改造することができます。

 

なみに、LANDISK本体から伸びている小さな基盤はパソコンによってこの機器の起動状態を見ることができるようにするためのICチップを使ったコンバーターです。

 

巷では「シリアル・コンソール」といわれているようです。コンソールなのだからカッコよくしようとデータの送受信を視覚化できるようにLEDを取り付けてデータリンク時に発光するようにしました。送受信する時は青と白がチカチカと点滅してうごいてるんだなーということを実感させてくれます。

このコンバータ(シリアル・コンソールのこと)を作る必要があるのかどうかを考えていたのですが、やはり必要かなーと思い作ってみました。

この本体ボードにはTTL規格という信号で情報が処理されていますが、その内容の解析と理解にはTTL信号を速やかに他のパソコンで読みとれるような規格に変換する必要があります。本当は変換しなくても読み取れるのですが、通常のパソコンでは誤動作を起こしやすいので、とりあえず作ったという感じですかね。

 

要なものではあったのですが、最初は自作する気などまーったく無く、どこかでキット売ってないかなーと思ってたんですよね。手間かかりますしね。探すのですが、どこに行っても無いんですよね。

仕方が無いので電材屋に、こんなキットないかなーと言うと、

「そんなもん、ねぇー」とにべもない返事。

電材屋の番頭が出てきて、いろいろ話していると「そんなもん作ればいいじゃねーか、お前は何屋だ?」と言われたので思わず、

 

「電材屋の番頭殿、ワタクシはめんどくさがり屋であります!!」

 

冗談で言ったつもりなんですけどね。30分くらい説教くらいましたよ。

 

んなこんながあったので、電材屋の番頭から半ばゴリ押しでICチップとチップ周りに撒くためのコンデンサを買わされて製作しました。

本当にドーデモいいことですが、この手のものを自作してると三つ編みがうまくなります。信号線には交流が流れているので雑信号を打ち消すと言う意味で行うのですが、慣れてくると四つ編みや五つ編みもできるようになりますよ、って自慢になるかいそんな事(笑)。

ここで小言を入れておきましょう。

 

電材屋の番頭よ。

これ作るの

結構時間かかったぞ。

 

LINUXブート画面

LANDISKの信号をつないだパソコンで変換して読み込むことができるようにした状態。ハイパーターミナルという通信ソフトを使います。

LANDISKの起動画面を見たいときや、ディスクの内部構成を変化させたい時にこのコンバーターを使います。

 

 

のような感じで、データ復旧が行われるのがわかっていただけましたでしょうか。データ復旧以外の余計なことがかなり含まれていましたけれど、話の展開を膨らませると言う意図がありましたので長々と書き連ねてしまったこと、ご容赦ください。

データ復旧よりもそっちのほうが面白いかな?時には遊びも必要ですからね。

 

修繕と同じで、故障内容の推測を行って内容を分析し測定によって再チェックする。それから自分が行いたいと思う復旧行為を行う。データ復旧ってその繰り返しなんです。結構地味な作業の繰り返しです。

 

から製造現場で「K・K・D」と言われる言葉がありますが、ご存知でしょうか?

K=KEIKEN(経験)

K=KAN(勘)

D=DOKYOU(度胸)

上記3つの省略形で、モノづくりを進めていくための基本事項と言われています。よく、私なんかはKKDをもじってK=KITUI(きつい)、K=KAKKOWARUI(かっこ悪い)、D=DAMEDA(駄目だー)と茶化しておりましたが。

 

 

ータ復旧も製造現場とよく似ていると思います。ある程度の経験から推論を蓄積させ、許容量の推論が堆積した状態で判断を下す。そんな状況で仕事を行っているということがわかってくだされば良かったかなーと思い、今回のような話を書いてみました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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