ワイバーン(wyvernまたはwivern)は、架空の生物の名称。名はマムシを意味するViperからの派生として考えられている。翼を持つドラゴンの中で二本足のもの。飛龍と訳される場合もある。ワイヴァーン、ワイヴァンとも。中世の紋章の図柄としてよく登場するワイバーンは、もともと紋章学より誕生した生物である。当時、ドラゴンの紋章は王室の紋章であったため、ドラゴンに代わるものとして誕生した。ワイバーンの逸話や神話が無いのはこのためである。フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』より引用。

 
 
 

オーディオ・コンポのアンプが壊れたので修理しました(その2)

平成19年6月3日

 

あ、「アンプが壊れた」その2です。その1はこちらです。

るほです。アンプの奴、なかなかこちらが思うような動作をしてくれませんね。次は材料を調達して、完全に修理することを考えます。その1で考えた項目2の実行です。

 

2、リレーを交換する。おそらくリレーの寿命が10年〜20年くらいだろうから、次のメンテナンスも考えて、リレー用のソケットを取り付けてリレーを差し込む。

 

今、基板上に取り付けられているリレーはオムロン社製G5R−2232Pという部品です。メーカーに問い合わせてみたところ、かなり古い部品である為に廃番品になっているとの事です。

 

そのときの会話(テキトーに脚色してありますが)。

 

メーカー担当者「もう古くなったために廃番品ですね。ただ、同種のリレーとしてG2R−2/24Vがありますぜ。互換品として使えますよ。汎用品ですから、代理店で注文してくれれば即納は可能です。」


ほ「ほう、そうか。じゃあ、それで注文するよ。」

 

担「あ、ちょっと待って。確かオーディオ用として使うって言っていましたよね。」

ほ「そうだが、他に何かあるのかい?」

担「いいモノがありますぜ、旦那。このリレーのオーディオ用特注品が。品番はG2R−2−AUL/24V。高音質・高信頼パワーリレーですね。接点部分が金メッキされており、長期間の酷使による劣化に耐えるというシロモノでさぁ。」

 

ほ「いいなぁ、それ。実にいいじゃないか。価格はどれくらいだい?」

担「通常品の2倍ほどですぜ。およそ市価で800円から900円くらいじゃないでしょうか。」

 

ほ「ようし、それを注文しよう。納期は?」


担「あ、ちょっと待って。あー、こりゃダメだ。納期は未定です。受注生産だから数量がある程度たまらないと、ライン稼動させないみたいです。とんでもなく時間が掛かります。」

 

「なんだよー、それ。だめだめじゃん。

 

い情報だったんですけどね。性能の良いリレーをのせるとアンプの音質が飛躍的に向上するというのは良く聞く話なので、どうしてもこの特注品リレーを手に入れたいと思いました。部品が無いからといって、あきらめるのはとても簡単です。しかし、部品探しについて技術屋はヘビのように粘着でしつこくなるべきでしょう。

 

だただ探します。地味に且つひたすらネットで探すと、やはりありました。ヤフーのオークションでまさにそれ(G2R−2−AUL/24V)が売買されているじゃないですか。ヤフオクには本当に何でもありますね。あの品数の多さには感心します。

 

よーし、それ買いだ。ということで買いました。これがそのリレーです。

 

新しいリレー

オムロン社製G2R−2−AUL/24V(G5R−2232P互換)

接点端子やコイルの形状を見ると、太くかつ厚みがあり、贅沢なつくりになっています。特に接点はかなりの厚みがあり、金メッキのゴージャスなリレーです。

 

お、リレーのソケットですが、これは通常品でしたので簡単に手に入りました。アンプの筐体をはずして、下のような感じで接続します。

ソケットとリレーを接続してはんだづけ

基盤にある既設リレーをはずして、ソケットとリレーをあらかじめ接続しておき、はんだづけする。

ソケットをつけておくと次回の交換時に手間が掛かりません。

ソケットの品番はオムロン社製P2R−08P。

次回の交換を見越しているので、交換した年月日をマジックで書いておきます。

レーをはんだするときに、このアンプはリレーの2番ピン、7番ピンが不要です。それらをカットして使います。リレーの交換はそれほど難しくありません。はんだこてを使って手早く行います。

 

に、低音域が不足していたような感じがするので、コンデンサー周りを観察してみます。

む、これか?

何かシミのようなものがあるぞ。

 

コンデンサ廻りのシミ

赤の多角形で書かれている部分の基盤のシミは何か?

可能性として2つ。ひとつは据付け時にはんだと一緒に出てくるヤニ。もうひとつはコンデンサの電解液。

電解液が漏れているということになっていると少し厄介です。

ょっと、コンデンサの寿命とその原因について話をしておきましょう。コンデンサ、特に電解コンデンサは電気を蓄えるために、電解液という液体を自分の中に持っています。この液体は揮発性で電気製品を長い間使い続けると、電解液が蒸発していきます。この現象をドライアップまたは容量抜けといい、コンデンサの性能が低下する原因のひとつとなります。時間がたてば、どの電解コンデンサも容量抜けが起こり、寿命となります。

他の原因としては、コンデンサが急激な温度変化や何らかの原因で負荷が増大し、電解液が漏れ出す状態(液漏れ)です。液漏れが起きるとコンデンサの寿命は低下し、電解液が基盤や他の部品を浸食するため故障の原因となります。私は、この状態から判断してコンデンサの液漏れではないか、と考えました。

 

前、台湾や東南アジアであったことです。西暦2000年ごろ製造された数社のメーカーのコンデンサ電解液に不純物が混入し、大量の電解コンデンサの不良品が生まれ、それが市場に流通しました。

 

このコンデンサを使った電気製品はメーカーが補償する期間の半分以下で故障状態になるといった、ていたらくで多量の不良品を発生させ、電気機器を製造するメーカーを大混乱させました。このコンデンサは液漏れや容量抜けに加えて、電解液が蒸発・膨張してコンデンサーの殻を上に押し上げたり、爆発炎上するといった過激な故障もあったようです。

 

ちなみに、電解コンデンサは極性のあるものとそうでないものがあります。極性のあるものは極性を逆に付けると、ある条件で爆発します。「発火・燃焼」とか「爆発」といった言葉にロマンを感じる人はやってみるといいかもしれません。(そのかわり、何が起きても当方は一切関知しませんが。)

 

ですから、あのころの電気製品を持っている方はコンデンサの不良品ロットが製品の内部に紛れ込んでいるかもしれないので注意したほうがいいかもしれませんね。もう、製品として駆逐されているかなあ、とも思いますがね。

 

のアンプに使われているコンデンサはニチコン社製のVXシリーズ・コンデンサで、私がおかしいと判断しているコンデンサの容量は10000uF(マイクロファラッドと読みます)。日本製です。このシリーズはオーディオ用の標準品として重宝されましたが、現在は生産終了となっています。

 

ニチコンのコンデンサは評価が高く、電解液不良といった事は聞かないので、ロット固有の不良か、または寿命かもしれません。考えたら、20年だもんなー。壊れている事を前提に代替材料の検証を始めました。

 

ニチコンのVRシリーズがVXシリーズの後継品番であることは知っていましたが、せっかくアンプの開腹手術をしているのですから、オーディオ用の高級コンデンサを据え付けたいと思うのが人情というものでしょう。

オーディオ用に使われる高級コンデンサを探すのですが、10000uFという高容量品はなかなか置いていません。かなり調べましたが、材料屋に在庫も置いていないようです。

メーカーに聞いてみるか、ということでオーディオ用高級コンデンサを作っている某メーカーに電話です。

 

そのときの会話(テキトーに脚色してありますが)。

 

ほ「10000uFの御社製造のまるまる(という品番です)コンデンサ欲しいんだけど、どこの材料屋に在庫あるの?」

 

メーカー担当者「(カタログ見ている様子が電話から聞こえる)どこに売っているか当社ではわかりません。代理店で注文してください。」

 

ほ「そうじゃなくて、すぐに欲しいの。カタログに載ってる製品なんだからわかるでしょ?それに、まるまるコンデンサは特殊な品番だからどこに出荷してるか、おたくメーカーなんだから把握しているでしょ?それを、教えて欲しいわけ。」

 

担「申し訳ないのですが、個人情報保護の観点から申し上げられないんです。」

 

ほ「・・・(かなり苛立っているが、大人だから怒らない怒らない。怒ってはいけない)。えーっと、じゃ代理店に注文すればいいんだな?よしわかった、そうするよ。」

 

担「いくつほどご入用ですか?1000個くらいですか?」

 

ほ「とんでもない、2個あれば十分なんだよ(注、アンプ左右のバランスを考えるとコンデンサを2個とも交換するのが望ましいから、1個じゃなくて2個必要)。」

 

担「最低の注文数は200個ですよ。まるまるコンデンサーはある程度の数がそろわないと製造を開始しません。時間が掛かりますが、それでもいいですか?」

 

りゃあね、メーカーも今のご時世に在庫を置かないのは分かりますよ。皆さん、インターネット注文大好き、サプライ・チェーン・マネージメント教の信者ですから。

 

でも、品物を在庫してる代理店教えろって言ったら、個人情報だから教えられないと言われたら、

さすがに消費者、

戸惑わないか?

 

しかも、200個1注文単位ときた。

仮に、スーパーでなすび2個買おうとしたら200個1セットでしか売りませんよと言えるかなー?こんな高慢ちきなスーパー、買い物客が暴動起こすよな。

 

今、どこもかしこもこういう体制で動いているんですかね。

本当にやりにくいですよ。

 

のままでは、埒が明かないのでアンプの既存コンデンサが故障しているかどうかを確認してから次の手を考えましょう。

 

電解コンデンサが電解液漏れ又は容量抜けが発生していると容量の低下が現れます。そこで、コンデンサの容量低下が発生しているかどうかを確認するためにコンデンサ容量計を使い確認してみます。

右側テスト

調べてみると右側の容量は10300uF、左側の容量は9990uFでした。ほぼ、規定の値を満足していました。

少し、左右の容量に偏りがあるのが気になりますが、プラスマイナス5%以内の許容範囲です。他の回路構成で支障があるのかもしれません。いっそのこと小容量コンデンサを全数交換してしまってもいいんですけどね。

今回は交換するまでもないと思います。

もし、10000uFの規格品が無ければ、小容量の1000uFあたりを10個並列につないで基盤構成することを考えなくてはならないところでした。

並列回路構成かあ。回路を2階建て構成で作らないといけませんね。

左側テスト

 

解コンデンサを交換しなくていいみたいです。ほっとしました。これで交換ということになれば結構大変だったと思います。日ごろの行いが良かったからかもしれませんね。

 

ただ、正直言いますとコンデンサ関係は20年という年月が経過しているので換装したほうが良いと思います。

性能の良いコンデンサを交換すればそれだけ音の分解能も上がりますし、輪郭のはっきりした音をきくことができます。オーディオ用のコンデンサに全部交換したら材料費だけで1、2万円くらいするんじゃないでしょうか。この価格のアンプで、そこまでする必要も無いかもしれないとも考えてしまいます。

お金ができたら、交換を検討してみましょう。

 

れでは、交換も完了しましたし、組み立てです。さっさとやってしまいましょう。細かいことですがやっておいたほうがいいようなことを下に記しておきます。やったとしても劇的な音質の向上は望めませんが、ちょっとはましになるかな程度の事です。

FETとヒートシンクにシリコングリスを塗布

パワートランジスタ(黒いやつが強烈に発熱する)の放熱を助けるために巨大なヒート・シンク(アルミ製のギザギザ物体)を密着させますが、間にシリコングリスを入れて熱伝導を向上させます。

そうすることで、アンプの電流制御をしっかりと行うことができるようになります。

トランジスタに白い板のようなものが付いているのは雲母板で電気の絶縁物。

ヒューズ

ヒューズが付いているので赤丸の部分をその1で使った接点洗浄剤で洗っておきます。

更にヒューズを取り出して接点に接触する部分をきれいに磨きます。

 

みあがりましたので、電源を入れて出入力線を接続し、音楽を聴いてみます。テスト音楽で一番いいのはパイプオルガンだと思います。テスト波形のような色気の無いものを聴いてはいけません。パイプオルガンは超低音から超高音まですべて出して演奏しますので、オーディオ・コンポの性能がはっきりと分かります。

 

曲はJ.S.Bach, Prelude and Fugue in E flat major,

BWV 552 "St.Anne"(SIMON PRESTON, organ)

 

やー、いいですねー。音の分解能が上がりました。低音域がしっかり出てますし、中高音域も音の輪郭がきれいに出るようになりました。やはり、スピーカーリレー交換して正解でした。皆さんに聞かせられないのが残念。実際に聞かないと分からないところが口惜しい。 パイプオルガンのバルブの変換音までがはっきり聞こえますよ。

当初の懸念であった、低音出力の低下も気にならなくなりました。

 

 

ンプの修繕が終わって思うことなのですが、音質という微妙なものを追求するということは、解析結果の数値を追求したりといった抽象的・難解なものではなく、単なる音のよしあしの判断を追求することなんですよね。

 

どういうことかといえば、専門的な技術上の問題を解決するといったようなものではなく、万人が音楽というものを聞いてみていい音楽だ、いい音質だと納得できるものであればそれでいいんだと思います。

もっと砕けて言うなら、「アンプの内部構造が分からなくても好きな音楽をいい音で聞ければサイコーじゃん」という風になりますか。

 

修繕ひとつで、こんなにぐずぐずと書いてしまいましたが、いい音を聞くために修繕したんだと思えばそれもいいかなと思います。手間掛かりましたけどね。

 

「音質」を文章に表現することができないのが本当に残念です。私の稚拙な文章表現にも限度がありますし、いろいろと言ってるようだが「音質」とは一体なんじゃい?という問いには私は明確に答えられないと思います。

ただ、ある本の中で非常に示唆に富む文章がありましたのでここに引用しておきます。小説の中で老数学者が主人公である「私」に数学上の概念の「直線」について述べたくだりです。

音質という概念を考える上で参考になると思います。

 

鉛筆で私は直線を書いた。

「そうだ。それは直線だ。君は直線の定義を正しく理解している。しかし考えてみてごらん。君が書いた直線には始まりと終わりがあるね。だとすれば、二つの点を最短距離で結んだ、線分なのだ。本来の直線の定義には端がない。無限にどこまでものびてゆかなければならない。しかし一枚の紙には限りがあるし、君の体力にだって限界があるから、とりあえずの線分を、本物と了解しあっているに過ぎないんだ。更に、どんなに鋭利なナイフで入念に尖らせたとしても、鉛筆の芯には太さがある。よって、ここにある直線には幅が生じている。面積がある。つまり、現実の紙に、本物の直線を描くことは不可能なのだ。」

私は鉛筆の先をしみじみと眺めた。

「真実の直線はどこにあるか。それはここにしかない」

博士は自分の胸に手を当てた。

博士の愛した数式(小川洋子・著 新潮文庫)

 

「音質」も直線と同じようなものと思ってくださればいいと思います。

 

 

 

 

 

 

 

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